バレエ忘備録

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新国立バレエ団 DANCE to the Future: 2021 Selection

2021.11.27 新国立バレエ団

 

(ココログからこちらに少しずつ移動する予定でいます。よろしくお願いします)

 

 

ライト版『白鳥の湖』で木下嘉人君に興味を持ったのと、動画で見た彼の『contact』が素敵だったので、コンテは苦手ながらチケット取ってみました。

でも、そもそも演目が違ってるし木下君もデュエットは踊らないしで、寝てしまわないかと少しばかり不安も感じてましたが、

 

センターを踊る中島瑞生君の映えが、想定以上!

 

皆さんが待ち望んでいる純新国立男子の次世代が、思っていたより早く頭角を現してきましたよ。

 

 

〇 『Coppélia Spiritoso』木村優

 

ラストがギョっとして終わる意味深な結末の、少女二人で踊る可愛らしい作品。優子さん優里ちゃんが可愛くてずっと見ていられるけど、「一風変わった女の子」「面白い女の子」をあえて踊ってる感じ。本人そのまま?

若くて可愛い時期は限られてるし、これはこれでとても心地良いけど、でも優里ちゃん、自分で枠を定めてないか?

このいつまでも運動場を走り回ってそうな元気いっぱいの彼女に、次なるブレークスルーへの挑戦として、美しく情感溢れる大人の男女の作品を、貝川さん木下さんあたりが振り付けてくれないかな…

(私が見てないだけで、それをこなした上での、今の優里ちゃんなのかな…)

 

 

〇 『コロンバイン』高橋一輝

 

「天使がいる」と思ったら、渡辺与布さんでした。めっちゃ綺麗で可愛らしい。

中劇場の臨場感を生かした作品。

 

〇 『神秘的な障壁』貝川鐡夫

 

作品が良いのか、米沢唯ちゃんの力量で作品の質がうんと嵩上げされているのか、そのあたりが私には判断できない。米沢さんが美しい。

プロフェッショナルな作品で、格調高さを感じました。

これ、翌日には優里ちゃんが踊ったようだけど、どうだったんだろう?

 

 

〇 『人魚姫』『Passacaglia』 木下嘉人

 

木下君のデュエットを期待していたけど、この『人魚姫』は木下君に合う役ではありませんでした。どちらも素敵な作品。

 

関係ないけど、『Passacaglia』で木下君と五月女遥さんが踊られているのを見て、「選ばれる」女性ダンサーについて考えました。

小柄で軽くて、踊りが上手。

そしてデカくて踊りが今ひとつな女性ダンサーの辛い立場を、「選ばれない」「忌避対象である」ことの辛さを、その痛みを思い遣っておりました……私のイチ押しは、ワガノワ時代からコワリョーワなのです。彼女はボリショイ入団後にさらに身長が伸びてしまい、直近ではインスタグラムを閉鎖して隠遁するなど、ちょっと色々と察するに余りある感じでつらい。最近の『ライモンダ』でも、ジャンドブリエンヌの肩に担がれてのフィニッシュポーズも、彼女だけ回避で二人並んで終わってましたし。

木下君、全く関係ないですね。すみません。

 

 

〇 『ナット・キング・コール組曲』上島雪夫

 

ミュージカルの振付演出家の方の作品。

初っ端からセンターに中島瑞生君。彼についてはワルツなど後方で踊ってるときにいつも確認はしてるけど、後方とセンターでは映え方が違うようで、センターで見る瑞生君はかなり華やかでしたわ。

瑞稀君、振り付けの特徴なのか、ねっとりした踊り。また彼の衣装がノースリーブのナイロン素材?かレザーのベストで、こういう衣装だと夭折したロックスターを連想してしまいますが、肩の三角筋?とか上腕二頭筋とか、見事に鍛え上げられていてムキムキというかムッチリというか、他のダンサーが似たようなお衣装でも「あ、筋肉だな」としか思わないのに、彼だとなぜか目が離せない感じになるの凄い。ホント凄い。

筋肉ってわりと難しくて、一般的な日本女性はおよそ筋肉にあまり関心が無く、古事記源氏物語の昔から女装の似合う繊細な男性を良しとする好みが遺伝子に組み込まれているというか、マッチョなアメリカンタフガイは日本ではあまりモテないし、ブラッド・ピットトム・ハーディーのような肉体美はそれはそれとして理解するけど、あくまでそれはそれ、ティモシー・シャラメの細く繊細な少年タイプが出てきて「ようやく世界が日本に追いついた」と安心してるところで、

…つまり、中島瑞生君、日本人離れした上半身に厚みのある立派な体躯が国際基準すぎて奥様方はビックリされるかも、まあ普段は貴公子衣装のパフスリーブで隠れるので安心していていいと思うけど、でも仮に『不思議の国のアリス』で「いも虫」とかきてしまうとちょっと警戒が必要かもよ……そろそろ自分でも何言ってるかわからなくなってきたのでこの辺で止めときますが、新国立男子の中でかなり個性が際立っているのは確かです。

水際立つ、という感じ。

『ライモンダ』のソロは良かったと思うし、上田公演での『白鳥の湖』ベンノも経験済み、次のターゲットは王子ですよね?

この子をいつまでも後方のワルツや群舞に留めておくのも難しい気がしますし、新国立だって数年前には「登場シーンとキメの静止ポーズがその日のハイライト」って感じの王子のデビューを、あーだこーだ言いながら見守り育ててきたこともあります。

中劇場で見るミュージカル的な小品のセンターと大劇場での古典全幕のリードでは要求されるものが段違いとは思いますが、

でも瑞生君だと容姿加算で下駄履いた高い地点からのスタートになるでしょうし、まあ色々と多少の難があっても、「ウチとこの次世代」として、あーだこーだ言いながら見守っていく楽しさって、ありますよねきっと。

 

終演後、4.5名の御婦人方が「まーー素敵だったわ!」と皆でキャッキャと楽しそうにしておられて、わかるわーーと思った次第です。

 

劇場のエントランス歩いていると、大きなサイズの「吉田都selection」のポスターの瑞生君が素敵でした。

今後が楽しみですね。